「おっ、成瀬じゃん。奇遇だな、こんな所で」 「それはこちらの台詞ですよ!」 やたら親しげに話すこの2人。 何、もしかして――――。 この胸のモヤモヤが確かになった瞬間。 「成瀬さん、紹介するわね? 私の彼氏…というか、婚約者の―――」 「高柳 帝【たかやなぎ みかど】。いつも紫織が世話になってる」 微笑みがまるでそれを物語っていた。 そして、苗字がそれを否定してくれなかった。