「闇が怖くないようにそばにいる、素敵なことだね。」

妃緒はにっこりとうなずく。

「そう思えるようになるまで、随分時間がかかったよ。そばにいてくれるだけで幸せだって、高裕さんに何回も言われた。
それでも、何もできない自分がゆるせなかった。
逆を考えたら、すぐにわかることなのにね。」

恋人は自分を映す鏡だと聞いたことがあるけれど、この二人のためにある言葉なのかもしれない。
正反対なようで、二人はそっくりな考え方をしている。