「あそこにあるカフェに行くんですね?」
近くにいくつか24時間営業のカフェがあり、そのうちの一軒は、夜中でも温かいワッフルやホットケーキを出すことで評判だ。
なぜかそこのカフェだけはいつも落ち着いた雰囲気だから、騒がしいのを嫌う妃緒が行きたがるのもわかる。
「そうです。このぐらいしか連れていってやれないのはもどかしいんですけど。」

水野さんはグラスを空けて言葉を続けた。

「妃緒がここに来たら、また今までみたいに相手をしてあげてくれませんか?
あの子はこっちに親しい友人もいませんし、俺ももうしばらくはかまってやる時間がとれなくて。」
「妃緒さんは、水野さんと一緒にいられさえすれば、幸せなんだと思います。
ここでよければ、いつでもお待ちしています。」

やがて戻ってきた妃緒と寄り添って、二人は店を後にした。