カクテル~Parfait Amour~

家電の揃った広めのキッチン、電子ピアノ、ピンクのカーテンに寝具、ぬいぐるみ。
白いテーブルの上には、カミソリとティッシュ、そして病院で処方された山のような薬。

1日に20錠もの薬を処方されていることも、リストカットも知っていたが、この部屋でたった一人でと考えると、今までのどんな時よりも苦しかった。

しばらく滞在させるつもりで荷造りをさせ、会社の事務所も兼ねている俺の家に連れ帰った。

この日は木曜日で、妃緒の会社は土日が休み。
責任者と話し、とにかく日曜まで俺の手元で様子を見ることにしていた。

デスクから見える位置にソファーをひっぱってきて、妃緒を寝かしつけた。
薬がないと眠れないと言っていたが、しばらく手を握って髪をなでていたら眠りにおちた。

仕事を片付けたら、夜の9時を回っていた。
目をさました妃緒をつれ、近所の小さな食堂へ向かった。