「すみません、そちらに長い黒髪の女の子、来ていませんか?」
初めて聞く声だったが、妃緒の恋人だと確信した。
「妃緒さんですよね。
来ていますよ。」
「近くにいるので迎えにいきます。
もう少し、置いてやってください。」
僕は店の場所を説明し、受話器を置いた。

声を聞いたのが初めてなら、会うのも初めてだ。
写真を見せられていたから、顔は知ってはいる。
10分ほど過ぎたころ、ドアが開き、妃緒の恋人が現れた。