カクテル~Parfait Amour~

「妃緒、そろそろおいとましよう。開店の準備とか始めないといけない時間だから。」
あっというまに時間が流れていた。
「これ、俺と妃緒からの…」
彼が差し出した小さな包みを開けると、翼の形をした銀色のブローチが入っていた。
「ありがとうございます。幸せになってください。」
オレの方が泣いてしまいそうだった。

「ありがとうございました。」
二人は最後にもう一度、オレたちに頭を下げると、婚姻届の提出のために役所に向かって行った。

オレの知るこの世界で働く人間の中で、いやそれ以外の人たちを含めて考えても、一番幸せな形で結ばれたのはこの二人だ。