「お久しぶりです。」
水野さんが妃緒の隣に座る。
スーツがビジネス用の仕立てのものに変わってはいるけれど、着こなしはさすがだ。

「結婚式の写真のハガキ、見せていただきました。
二人ともよくお似合いで、思わずみとれてしまいました。」

水野さんは照れた笑いを浮かべながら、妃緒をみつめる。

「俺は見せられるようなものではないのですが、妃緒のドレス姿はやっぱり見てもらいたくて。」
「高裕さんだって、十代の頃からずっと憧れてた、宝塚の王子さまみたいだったよ。
夢がかなって、すごくうれしかった。王子さまって本当にいるんだって。」

いくら僕しかいないとはいえ、人前で堂々とほめあえる夫婦もめずらしい。

「また今度ゆっくりくるね。」

そう言って寄り添って店をでる二人からは、相変わらず幸せな空気がでていた。