田舎にホテルなんてあるはずもなく、私と奈々美はやっとのことで一件の古ぼけた旅館を見つけた。

「あのー、すみません‥‥‥」

「はいはい!」

遠慮がちにかけた声に反応して、旅館の女将さんらしき人が出てきた。

「あら、ずいぶん若いお客さんだこと」

「今からでも泊まることって出来ますか?」

私達のその言葉に、女将さんらしき人はにっこりと笑って言う。

「もちろんよ、久しぶりのお客さんをないがしろには出来ないわ」