ガラスの器に入ったコーヒーと底に沈んでいる練乳が溶けあうように
しつこくかき混ぜながらあたしは自分の考えを整理するように話す。

「えっとね。その人、芙美子さんっていうんだけど。
芙美子さんも、あたしのことを聞かされてイヤだなあって思ったんじゃないかなって。
自分が祐治に服とか与えてることで、祐治に必要とされてるって感じてたと思うのよ」
「ああ、そうかもしれないわね。身につけてるんだしね」

「うん。なのにさ。
他の女が着るもの以外の面倒を見ているっていうのがわかったら、
やっぱりイヤな気持ちになったんじゃないかなあと」
「しかも、それを当たり前みたいに言われて、お前は友達なんだから気にすることはないと」
「あー。そういう風に言ってるかもしれないねえ。腹立つだろうね」
「エリちゃん同じことされて腹立たないの」
「腹は立たない。この人はそういう生き物なんだろうとちょっと割り切りつつある」
「私はそれも不思議だわ」