美しいあの人

「だからねえ、あたしはお客さんからプレゼントをもらったら、嬉しそうにするとか、
お店で親切にするとか、ちょっと特別な感じに思わせるとかするのよ。
つきあったりはしないけど、同伴を増やしたりとかはするわけ。
祐治がそうやって身につけるものをもらってるってことは、
それをくれた人になんらかのお返しをしているからそんなにたくさんくれるってことじゃないの？」
祐治が難しい顔をして腕を組んだ。
「別になんのお返しもしてないですよ。
私もはじめはいらないと言ってたんですけど、どうしても持って行けというし、
もったいないですしね」
訳がわからない。
身体の代償とかでもないのか。
それとも普通に彼女？　率直に聞いてみる。
「彼女じゃないの？」
「違いますよ。向こうはそうなりたいのでしょうけれど」
もっと分からない。
「便利だから貢がせてるの？」
「まさかそんな」
「わかんないなあ」
ソファの上で膝を抱えて座り直す。
すっかり出かける気持ちも失せてしまった。
祐治は変わらず困った顔で、カフェオレをすすっている。