美しいあの人

だとすると、あたしに対してもそうなのだろうか。
でも必要だと言ってくれるその言葉は信じたい。
あたしは、ぼんやりしている祐治に、なにから説明したらいいのかを考えるため、
頭を落ち着かせようとすっかり冷えたカフェオレの入ったマグカップをキッチンに戻して、
改めて温かいカフェオレを入れ直すことにする。
あたしの聞きたいことを聞くのはそれからだ。
カフェオレを持ってキッチンからリビングに戻ると、祐治がぼんやりしていた。
なにから話したものか迷いつつ、祐治の隣に腰掛ける。
「エリ。怒ってますか?」
祐治が、恐る恐るあたしの肩に手を回してくる。
「怒ってはないけど、どう言ったらいいのかわかんないのよ。その人はなんなの?」
美しい顔が困惑している。あたしは、肩に回された手に自分の手を重ねた。
「私にとっては友人なのですけど」
重ねた手を離して、身体をひねって正面から祐治を見つめる。
「あのねえ。ただのお友達はこんなに高い物をくれないの。
お客さんがあたしにプレゼントをくれるのはどうしてか祐治分かる?」
「それは、エリにもっと優しくしてもらいたいとか、
もっと親しくなりたいと思っているからでしょう」
「わかってるんじゃないの……」
自分のこととは違うと思っているんだろうか。
「それと一緒だと思うんだけど?」
「ああ、まあ、そうかも、しれませんねえ」
だんだんじれてくる。