美しいあの人

せんばづるで話をした帰りに携帯の番号とメルアドを教えあったので、
あたしと祐治さんは他の場所で会うようになった。

祐治さんはどうだかわからないけれど、
あたしは祐治さんと親しくなったことを千鶴さんに知られるのが気恥ずかしかった。
だから、せんばづる以外で会いたかった。

普段のあたしとは少し違うから、
キャバクラ嬢のエリを見られるのはちょっとイヤだなと感じ、
お店には来ないでほしいと思った。

祐治さんの方から
「あまり裕福ではないので、お店に行くことは出来ませんが
そうでないならいつでもエリさんんのもとへ馳せ参じますよ」
と言ってもらえたのでそれで良しとした。

あたしが仕事に出る前、同伴がなければ一緒に喫茶店でお茶を飲んだりした。
祐治さんの話はいつも面白かった。
祐治さんが三十歳なのも知った。驚いた。そんな年には見えなかった。
あたしの仕事の話もたくさんした。
祐治さんは「勉強になるなあ」と楽しんでくれた。
それが嬉しかった。