美しいあの人

同じ平台を眺めていた客が、帯の写真と祐治の顔を見比べていた。
あたしはそっと祐治の手を引いて、書店を出る。
思い出してしまった。
あたしはあくまでも祐治の小人さんだ。
今後、表向き祐治の恋人は芙美子さんということになる。
なぜなら、これから先祐治が外へ出て行く時は、芙美子さんが同行するのだ。
あたしはあくまでも影。日向の存在ではない。
これからはあまり二人で出歩くなどできないかもしれない。
悲しくなったが、
それでも祐治があたしから離れられないのは事実なのだから仕方がないと、
あふれそうになる涙をぐっとこらえた。

仕方ない。あたしたちは三人で西条祐治なのだから。