目覚ましがわりの携帯がなった。

由紀子はアラームを止めると、時間を確認し、またまぶたを閉じる。

まどろみ。

起きなければ。起きなければ。

そう思いながらも、溶けたチョコレートのように甘い睡魔が由紀子を襲う。

ミルク色の世界に由紀子はいた。

ああ、今日は課長に頼まれたあの書類を片付けなければ。

霞みがかった世界で横になりながら思ったその時。



ジリリリリ・・・・。



由紀子は現実に引き戻された。

カーテンのすき間から朝の光が漏れる。

携帯のアラームを止めて、由紀子は身体を起こした。