僕と彼女と幽霊

家を出て近くにある神社の前を通りすぎ商店街を抜けて、通っていた小学校の前を通り大きな交差点を渡ると僕達が通う高校がある。一般的な偏差値の公立高校だが、お嬢様の彼女がなぜそんな学校に通っているかというと、彼女のお母さんの教育方針らしい。


普通ならば悪い虫が付かないようにとエスカレーター式や大学付属の学校に、幼稚園や小学校からいれると思うのだが彼女の母親はそれを嫌がったらしい。


何不自由なく暮らして欲しいものもすべて手に入れられる環境の中で育つ我が娘を、あえて普通の公立の学校に通わせ、普通の家庭の子達と一緒に遊ばせて少しでも価値観のズレを少なくさせたいと思ったらしい。


僕もその考え方は素晴らしいと思うし、何より可愛い可愛いだけではなく本当に自分の子供の将来を考えての事だと思うと、彼女は良い母親の元に産まれてきて幸せ者だと思う。



学校の前の横断歩道を渡りきろうとするころ、後ろからぽんっと肩を叩かれ後ろを振り向いた。


「よっ!おはよう!今日も仲がよろしいようで。朝からご馳走様です!」


「おはよう、ケンジ。お前毎日同じ事言うなよ。否定すんのも疲れてきてんだから。」





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