僕と彼女と幽霊

僕の家の隣には、やたら威圧感のある高い塀がある。その塀がぐるっと囲んでいるその中には、大きな庭、大きなプール、そして大きな大きな家が建っている。そう、橘家である。なぜこんな大きな家の隣に、わざわざ小ささを強調されに行くように我が家を建てたのかは今でも疑問に思う。




彼女と歩いていると、通学中の男子生徒は必ずと言っていいほど彼女を見てから僕を見て不思議そうな顔をする。なぜ君みたいな野郎が一緒に歩いてるんだ、とでも言っているかのように。


確かに彼女は美人だ。それに変わって僕は、身長は168センチで止まったままで、髪の毛は親父ゆずりの微妙なくせっ毛で、体重も全然増えなくて肌も白いからもやしみたいで、おまけに目も悪いから眼鏡をかけているがそれも銀縁のオシャレ眼鏡とはほど遠いもので。全然いいところがないのだ。ここまで自分の事を的確に中傷出来てしまう自分が悔しい。




でも彼らは知らないのだ。美人だ美人だとはやし立てる彼女が、王さまだという事を。


いや、知ったら知ったで逆に喜ぶのかもしれないな。今の時代、ツンデレがモテるらしい。


僕もあながち流行からかけ離れてる訳ではないと思う。草食系男子とメガネ男子を掛け持ちしているようなものだ。



ま、草食だろうがなんだろうが要は顔が大事なんだろ、とだんだん虚しくなりながらも王さまの後ろを歩いて学校へ向かった。




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