ピピピッピピピッピピ…

カーテンから眩しい日差しが差し込み、毎朝聞いている不愉快なアラームを止め、一回大きなあくびをする。


梅雨が明けてジメジメとした湿気がなくなり、じっとしていてもただただ暑いと感じる季節になろうとしている時、今年こそは自分の部屋にエアコンを付けてもらおうと朝から戦闘体制に入る少年がいた。この地球温暖化と騒がれる時代に、エアコンを付けて涼しく快適な思いをするのはいかがなものかと自問自答を繰り返したが、その少年は温暖化だからこそ今年の夏はエアコンがなければ乗り越えられないのだと意を決した。



勢いよく扉を開け、勢いよく階段を降り、勢いよくリビングの扉を開けようとした時。


ピンポーン


まるでタイミングを図ったかのように、家のインターホンがなった。普通ならばそちらを優先するべきなのだろうが、少年には玄関のドアの曇りガラスに映るシルエットに見覚えがあり今玄関に行くよりも、目前に夏が迫ってきていち早くエアコンが欲しいと考えると今はこちらのほうが優先と考え来客を無視した。


「母さん、今年こそはエアコン付けてよ!」


「コタロー、それよりミキちゃん来たんじゃない?」


インターホンが鳴った時、嫌な予感がした。いつも何かしら話題をそらしてはぐらかされるのだ。





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