「ぬはーっ。うまそぉ!!」


入った途端、輝はキラキラ光るケーキ達が並んだショーケースにかじりついた。


さながら、何日も飲まず食わずの放浪者だ。


「ちょっとよだれ垂れてる!あ、あたしコレくださ~い」


奈留美は迷わず約束通り店で一番高いのを注文した。


ふわふわのスポンジ生地の上にたくさんのフルーツが惜しげもなく盛られた、見るからに高そうなケーキだ。


「げ!もう、奈留美は容赦ないなぁ~。あたしはどっちにしようかな…」


ケースの中の2つのケーキを交互に見る。


迷っているのはシンプルなチョコケーキといちごのムース。


どちらかというとチョコケーキの気分。


秋津と食べるなら、いちごのムースの方が女の子らしいよな……。


「輝ちゃん、決められないの?」


「うあっ!」


横から突然秋津が覗いてきたため、思わず声がひっくり返る。