「いや、なんでもない」
このまま突っ込んで聞くのもいいが、それは奈留美のプライドが許さないだろう。
輝はあえて話をごまかした。
「あっそ。それより、あんたの携帯ビカビカ光ってるわよ」
奈留美は忌々しげに輝の携帯を指差した。
輝も慌てて携帯を開いた。
「げ!」
メールを確認した瞬間、輝は苦虫を噛み潰したような渋い表情を作った。
「放送コードに引っかかるからその顔やめなさい」
「お前はよく自分のダチにそんなムゴいことを真顔で言えるな……」
ベーッと下を突き出す。
「バカね、ダチだからよ。で、何があんたにそんなブッサイクな面させたのよ」
輝は先ほどよりも渋い顔になる。
ちょうど、苦い抹茶を飲んだときのように。

