「朝からあっついわね~。もう冬だってのに」
げた箱で靴を履き換えていると、後ろから奈留美の声がした。
「げ!見てたのかよ……」
「この影の立て役者の奈留美様に向かって“げ!”とは何よ!」
そうだ、昨日コイツが秋津に会わせてくれたから解決できたんだよな。
「ありがとな」
「あら、意外と素直なのね。エラいエラい」
奈留美がバカにしたように輝の頭を撫でる。
「やめろ!」
「もう、照れちゃって~」
輝は奈留美の手をぱしっと払いのけ、さっさと教室に向かった。
「はよー」
「ねぇ輝!あんた彼氏できたんだって?!」
「イケメンって噂本当なの?」
「いや~ん、嘘だと言ってぇ!」
「ちょっ!?」
教室に入るなり、クラスの女子達に取り囲まれた。

