「あーあ。もう着いちゃった」
秋津が残念そうにホームに立ち尽くす。
「何やってんだよ!邪魔んなるだろ。ほら、行くぞ」
「……ん」
輝が腕をぐいぐい引っ張ったら諦めたのかしぶしぶ秋津がついてきた。
改札を出たところで立ち止まる。
紫苑学園と翔英学園は駅から真逆の場所にあるためここでお別れだ。
「じゃあ、今日も学校頑張ってね」
「お前はあたしの母ちゃんか何かか!あほ、お前も頑張らなきゃだろ。じゃあな」
輝の方から先に背を向ける。
歩き出すと背中に視線を感じてちょっぴり照れくさかった。
「早く行け!ばか!」
軽く後ろを振り返ると、まだ秋津が見つめていた。
さながら、戦場に向かう騎士を見送る恋人のように儚げに。

