「はいはい、お母様!」
投げやりに答え、牛乳パックを引ったくり自らのコップに注ぐ。
ゴクゴクゴク…
「ぷはーっ!ウマい!!」
口の周りに綺麗に白い口ひげを生やし、ドンッとテーブルに置く。
「ごっそーさん!」
キチンと手を合わせてお辞儀をし、素早く階段を駆け上る。
「誰に似たらこんな口悪く育つのかしら……」
言っていることは切実だが、麻子の口元にはうっすらと笑みが浮かべられている。
「おや、麻子さん、おはよう。今日も子供達は元気だね」
麻子が食器の片付けをしていると、父の隆幸(タカユキ)がひょっこりと顔を出した。
「元気だけが取り柄ですもの」
くすっと笑いながら、温かいお茶をテーブルに置く。
ドタバタと騒がしい2階とは正反対に、1階ではゆっくり穏やかな時が流れていた。

