ピリリ、ピリリ、ピリリ。


規則的な機会音が、朝日を部屋の中へと迎え入れる。


いつもなら自らの眠りを妨げる耳障りでしかない音。


でも今日からは、アイツの代わりに自分を目覚めさす心地よい音。


ピリリ、ピリリ、ピリッ


『おはよう、輝ちゃん!』


まだ覚醒しきれていない意識にダイレクトに響く優しい声。


「おは……すみ」


彼氏のモーニングコールでさえ、この眠気に抗うことなどできないのさ……。


すまん、秋津。


あと5分、寝かせてく「ぅ起きろぉぉぉぉおおっ!」


武蔵野家毎朝恒例の魔王のような怒鳴り声が響き渡る。


「もうちょっとソフトに起こせよこのクソバカ兄貴ーーっ!!」


輝は寝起きにも関わらず兄に飛びかかる。