「一度しか、言わないんだからな」
勇気を振り絞って言った第一声は、なんとも弱々しいものだった。
秋津は何も言わず、自分を見つめている。
YESと捉えても良いようだ。
「………好きだ」
「やっと聞けた。僕も、好きだよ、輝ちゃん」
ちゅっ、と輝の手に口づけを落とす。
顔を上げて、自分を見つめる秋津は、今までで一番良い笑顔をしていた。
「さ、帰っぞ」
輝は顔がまた赤くなるのを隠すように机から降りて、扉に近づく。
「そうだね」
後ろで秋津がカバンを肩に掛けて帰る準備を始めた。
カチャ。
扉の鍵はいとも簡単に開いた。
知らない間に奈留美が開けていたのだろうか…。
ならば、奈留美には聞こえてしまっただろうか?
急に恥ずかしさがこみ上げてくる。

