「何すんだ!オイ、開~け~ろぉ~!!」
反動でズレそうになったウィッグを直しつつ、ノブをガチャガチャと回す。
しかし、鍵が外からかかっているのかビクともしない。
「………輝、ちゃん?」
今、一番聞きたくなかったような、一番聞きたかったような声が聞こえた。
「あれ、おっかしいな~。突然の出来事であたしったら幻聴を聞くなんて。あははは~」
かゆくもないのに頭をポリポリかいてみる。
顔は未だに扉の方に向いている。
「何でここに?」
足音が、どんどん近づいてくる。
「もう、やだなぁ奈留美。ヘンな冗談止めてったら~」
これは絶対何かのジョークだ。
奈留美があたしのこと心配して、こんなことしてるんだ……。
「なんでこっち向いてくれないの?」
トン
恐る恐る、輝の肩に大きな手が乗る。
なんてリアルな幻なんだろう。

