「どぅあれが、山ザルかーーーーーーっ!!」


「~~~っ!!」


輝が叫んだ瞬間、輝の体自身も叫んだ。


ーーー…


「あんた、やっぱりバカでしょ」


ペチン


「ひぇっ」


ここは保健室。


保険医は外出中のようで、奈留美が代わりに輝に湿布を貼っている。


湿布の冷たい感触が、なんともぞわぞわっと背筋を這う。


「で、あんたの昨日の奇行の理由とやらをぜひともお聞きしたいわね?」


やっぱりきたか……

できればこのどさくさに紛れて忘れていて欲しかったのに。


というより、けが人なのだから労って欲しい…


「それは~、そのぉ」


輝は必死に目をうようよ泳がせてやり過ごす。


「昨日、慰めてやったのはどこの誰だったかしらねぇ?家まで送ったげたのは?心配メール送ったのは?」


奈留美の言葉全てが矢の如く輝の粗末な胸に突き刺さる。


「この鬼畜!あんなに優しかったのはこのためか!!」


感謝した自分が愚かだったと輝は反省した。