「て、別にそういう意味で嫌なのではなく、ただムカつくからで!」
そうだ、秋津は卑怯だ。
勝手に自分のことを好きになったといきなり言いにくるわ、次の日突然迎えにくるわ。
ニコニコしてるかと思えば、急にしゅんとするし。
おかげでこっちはよく分からん胸の病気を患っちまったんだ!
こんなのやり逃げじゃないか……
だから、決して会えないのが寂しいわけじゃない!
1人枕をぼふぼふ殴りながら誰に言うでもない言い訳を唱える。
「絶対ぶん殴ってやる!」
「うっせっボフっ」
怒りに任せて投げた枕はドアの方向に綺麗に飛んで、嫌な音を立てた。
「あ~き~ら~!」
運悪くも怒鳴りに来た兄にクリーンヒットしたようだ。
「ひぃぃぃぃい!」
この後、輝は兄に四の字固めをくらったとかくらわなかったとか……

