「お、この匂い……。今日はカレーだな」
リビングのドアを開けると、スパイシーな香りがやって来た。
なんでか分かんないけど、誰かが家に来た時はだいたいカレーなんだよな。
「辛っ!母ちゃん、これ辛ぇよ~」
「あんたがそうやってつまみ食いするから、防衛策よ!」
「ひ~舌が焦げる、ジュースジュース!」
ちなみに兄貴はあんなイカツいけど、実はすんげぇ甘党。
「なんで太んないかなぁ…」
「ふん、お前とはカラダの構造が違うんだよ!」
ゴツン
「い゛ッ!なんだ、聞こえてたのかよ」
頭をさするとジワっと痛みが走った。
手加減しろよ、手加減!
「お前は声デケェからな。つぶやくなんて動作、一生ムリだろ」
「ンだよ!兄貴だってカイジュウみたいな声のクセに!!」
輝の華麗なる回し蹴りが陸の背中へと放たれた。