「…調子いいヤツめ。で、さっきの電話、アレどういう意味だ?」
…来たよ。
やっぱりそこは言わなきゃいけないんだね。
「えっと……。最後まで何も言わず聞いててくれる?」
輝ちゃんの方を恐る恐るちらっと見ると、輝ちゃんもこっちを真っ直ぐ見てたから、了承とみて一息吐いた。
「僕、今日涼とボクシングの鬼塚選手の試合見に行ったんだ」
輝ちゃんのきれいな線を描く眉の片方だけがぴくりと動いた。
「そこでね、輝ちゃんを見たんだ。花束贈呈の時と、帰る時。どっちも輝ちゃんは僕の知らない顔をしてた」
あの時の映像がぱっと頭に浮かんだから、一気にジュースを飲んだ。
輝ちゃんが持ってきてくれたのは、真っ赤なトマトジュース。
口の中に酸味が広がって、少しスッとした。

