周囲がだんだん熱を帯びてくる。
観客の野次、アナウンサーのマイクパフォーマンス。
ボクシング独特の空気が会場内を包む。
いよいよだ。
『青コーナー、クリスーー、アレクサンドル!!』
アナウンサーの呼びかけに応えるように、屈強な外国人選手が入場する。
僕だったら絶対戦いたくないね。
『赤コーナー……、鬼塚ー、拳斗!』
うぉぉぉぉお!!
観客の声援が一際強まる。
両手を天高く突き出し、相手選手をまっすぐ見据えて威嚇する。
うわぁ、ホンモノだ!
「テレビで見るよりちっちゃい……」
リング上で相手選手と並ぶと、余計そう見えた。
まるで子供と大人が並んでるみたい。
試合は始まってないけど、明らかに鬼塚選手の方が負けそうだった。

