『開演時間となりましたので、順番に受付でチケットをお渡しくださーい』
手続きを済ませて会場の中に入ると、真っ暗な空間の中央に眩いライトを浴びたリングが目に飛び込んできた。
既に記者がリング外の一角を占領していて、メモをしたりカメラを拭いたりと忙しなく準備をしていた。
僕達が座ったのは客席の最前列。
きっと観客の誰よりも間近で鬼塚選手が見れるだろうな。
横を見ると、涼が満足気に腕を組んでいる。
「どうだ、来て良かっただろ?」
「あぁ、ありがとな」
「!お前が素直に礼を言うなんて、明日は雨か?」
涼はふざけてるようだけど、顔が真面目だった。
なんだよ、僕だって素直になるさ。
周りにもずいぶん人が詰まってきて、試合開始までもうすぐだと分かった。

