あげは「あたしの指名何席?」
「五番。」
あげは「うぃ。」
ぁ、
“うぃ”出てもーたぁー。
何かしっくりくるんだよね、うんとかよりも。
ぶつぶつ言いながら五番席に向かったあたしはソファーから二メートルほど手前で絶句した。
身体が言うことを聞いてくれない。
膝が笑ってる。
もう大爆笑ってくらい。
立ってるのも危ういくらいガクガクして……。
自分に血が通ってるのかも分からないほど握りしめた拳は冷たかった。
なのに、心臓は早鐘を打ち出し今にも飛び出しそうな程暴れ回っている。
あたしの目の前に座る男は、ソファーに踏ん反り返り、ニヤリとあたしの大っ嫌いな笑みを見せた。
「久しぶりだな、桜姫。」
その瞬間目の前が真っ暗になるのを感じた。

