あげは「離してよ。」

騎士「いや。」

あげは「離せって。」

騎士「無理だって。」


こっちの心臓の方が無理なんじゃー!!

バックバク言ってるわ、ボケェ!!!


騎士「アイツのことまだ好きなんだろ?…泣けよ。聞こえたんだよ、俺。」




あたしは泣いた。

もう心臓の音も聞こえないくらい、子供みたいにわんわん泣いた。

広い胸に沢山の悲しみを受けてもらった。




何が悲しかったのか分からない。

皆が離れていったこと

紫苑を傷付けたこと

騎士に知られたこと

どれが悲しかったのかいっぱい有りすぎて分からないけど。




泣いて泣いて泣いて全部を吸い取ってくれる騎士の広い心に全てをぶちまけた。






いつの間にか瞼が重くなってきて、うるさかった心音を心地好いと感じるようになり夢の世界に引きずり込まれて行った――。