あげは「…――ごめんね。」

「いえいえ。」


__コトッ


目の前の机にはホカホカの湯気がたつコーヒーが置かれている。

砂糖もクリープも無い無糖コーヒー。

無愛想でぶっきらぼうに思えたけど、今のあたしにはこんな甘くないコーヒーの方が似合ってるのかもしれない。




あげは「騎士に言ったんじゃない。」

騎士「知ってる。」


どこまでも憎らしい奴。

でも

どこまでも優しい奴なのも知ってる。


あたしが落ち込んでる時皆心配してくれたけど、誰より何よりあたしを影で支えてくれた。


無口だし、無表情だし、何考えてるのか分からないけどあたしが泣いてるときあんたは自然とあたしの隣に居てくれたね。




騎士「……ださ…」

あげは「え?」


騎士が聞き取れないくらいの声で呟いた。

嫌まぁあたしの耳が悪くなったのかもだけどね。