私たちは振り向かずに、黙ってそのヒソヒソ声に耳を傾ける。
「皆川バカだよなー」
「普通抱きしめるか?」
「えっ?俺なんかしたっけ?」
…え。
皆川くん本人がいるのっ?!
まだ話は続く。
「授業中に、隣の席の咲井に抱きついて…みんな見てたの。憶えてねーの?」
「え……俺バカじゃん。」
「だから言ってんだよー」
男子たちが笑う。
まだその話は続きそうだけど、私達はいったん盗み聞き体勢をやめた。
「あぁー…こんなみんながいる中庭であの話したら恥ずいよっ!はぁーあ…」
私はため息をついた。
「女子って怖いもんね…」
美優がそう言ったとき、
中庭に…高倉くん達が入ってきた。
あっ…
久々に見た…。
関わらないことにしてから、廊下ですれ違っても私は見ないようにしてたから。
懐かしいような…不思議な感覚。
「聞かれたくないっ!」
「うんうん。女子って怖いもんね」
「高倉くんに聞かれたくない…」
「……えっ?!」

