「だぁ~からぁ~しないっちゅうのぅ!見合いなんて!」
「市役所勤めだからっ!安定してるし、まじめな人だってぇ~」
「無理無理!就職すっからっ!」
「ほんなこといってぇ~決まんねぇ~じゃっ!」
「春までに、決めるよ~」
うちは、この町に たった一軒しかない
古びた本屋だ。
最新刊や週刊誌が並んでいても
神田の古本屋のようだ。
大した儲けにはもちろんならないから
本屋の店番は、ヨボヨボのばあちゃんがやって
父ちゃんは、スーパーの青果に勤め、
母ちゃんは生協で配達員をしている。

しょうへいと、みなみが結婚したので
皆で小さなレストランに集まった。
レストランと言っても
【キッチンみなかわ】みっちゃんの実家だ。
みなみは、お腹が大きく、
もう妊娠6か月だった。
父ちゃんと母ちゃんが焦るわけだ~。
二人が40歳の時の子供だから
早く孫が見たいんだろう。
ミエミエだ。
私はみなみがうらやましく、
ヒロの待つ東京に戻りたくなった。