店の中に入ると・・・。
「ばあちゃんっ!!何しとんのっ!?」
うちのボケばあちゃんが、店の中で
空の棚に向かって
なにやらブツブツつぶやいている。
「南無阿弥陀仏・・・・・・。」
お経!?
「ばあちゃん、やめてよ~縁起悪いから~!」
「死んだ、死んだ、皆、死んだ。」
ふぅ~~
ばあちゃんが訳のわからんことを言うのは
毎日のことで
意外に面白いので
いつか、ネタに使おうと、
よく聞くことにしている。
この間もばあちゃんは
デイサービスで
新人のヘルパーさんに
自分の昔の恋人は
梅宮辰夫で
若いときは女関係でよく泣いたと
涙を浮かべて切々と話していた。
ボケってすごい。

さすがにばあちゃんに店番はもう無理だろうな。

ばあちゃんに邪魔されたが、
木のドアを開けると
天井が高く
上の方の本をとるには脚立が必要だ。
これも、私の憧れ。
たまに、脚立で本をめくっていると
ゆらっと、脚立から落ちそうになって
眼鏡の王子様が助けてくれる。
うふっ。
なんちゃって。
でも、これは危ないのでやめた。
この町に王子様はいなそうだ。

店の中から窓の外をのぞくと
どれか一つの窓から
その季節の樹木が見えるようになっている。

長くなったけど
大体こんな感じのお店になっている。

夕飯をかねて、みなちゃんちに行くと
もうみんな来ていた。
今日のメンバーは
自転車屋の山岸
八百屋のきくちゃん
肉屋のハタケ
魚や北村
酒屋のエミ。
しょうへいとみなみは赤ちゃんを
連れて来ていた。
ちなみにしょうへいは
平和な町のおまわりさんだ。

同窓会の実行に向けて
分担を決めた。
こんなことで
ワクワクする自分が
なんか可愛く思えた。

数日後、無事に本の搬入も終わり
店の名前も決まった。
明日はいよいよ
開店だ。