ちょうど到着した電車に乗り、息をついた。

ーよかった、追ってこなくて。

彼に会いたいと、思わなければよかった。
そうすれば、こんなことを思い出すこともなかったのに。
これで、彼と、関わりを持ってしまったことになったのだから、きっと夢までも私を追ってくるだろう
しかし、名前を聞かなくてよかったとつくづく思う。
名前を聞くと、一生抜け出せない気がした。
“ユメワタリ”という、地獄から。
死後も続く、永遠のループから。