それから

僕らは一言も喋らず貝を拾い続けた。


しゃがみこんで てんで違う方を向いて。

僕が一つ、きれいな貝を見つけて彼女に見せると


彼女は微笑んで貝を受け取って袋の中へ入れる。



そのくりかえし。



いつからか雨も止んで


赤かった空も暗くなってきたころ


彼女は僕に頭を下げて


ぱたぱたと浜辺を去っていった。



一人残った僕は

星がでて うっすら細い月が出てくるまで

海を眺めていた。