「ルーナ?」

うわ、声ふるえてる…

しかも、声小さすぎ…

僕は傘を右手に掴み、左手に掴み、落ち着かない様子で彼女に声をかけた。


ルーナは今度はしゃがみ込んで手を砂だらけにしていた。



ルーナが顔を上げて僕の顔を見ると、その顔は驚いた様子でも、
僕の様に頬をピンク色に染めてる様子でもなく、

ただ無言に首をこてんと傾けていた。


なぁに?と言っているのか?



「…あー、何してるの?」

しばらくの沈黙。

ただ、ざぁざぁと波が打つ音と

しとしと静かに降る雨

ルーナはまた顔を砂の方に向けてきょろきょろとしている。


「…貝、集め」



「あぁ、貝かぁ。あのへんに貝、いっぱいあるよ。」
まだ話の続きがあるのかと、小さなルーナの声を耳を
澄まして聞いていた僕はワンテンポ遅れて返事した。