「…ルーナ?!」


と、声に出すのを喉元までで止めて、僕は近くの岩場までそそくさと隠れる。


別に悪い事してる訳でもないのに…


心の中の自分が呼びかけるものの、見つからないようにさらに大きな岩場へと移る。


先ほど自分がいた数メートル先にルーナがいた。


離れて彼女を見ると、全身が真っ白だ。


さらさらの銀色の髪も白いワンピースも一緒に溶け込んでいるようで


ただ彼女の肩にかかった真っ赤な郵便用のショルダーバッグだけが異質だった。



雨足は強くないものの、雨はまだ降り止まない。


ルーナは傘も持たずにうろうろと砂浜を歩いていた。


しばらく見とれていた僕は隣の岩に鳥が一羽ばさりと止まった羽音で我に返ると、
傘を片手に持ち直し彼女に近づいた。