僕は見た。
空は薄暗かったけど…
もっと暗い暗い色をしたモノを。
彼女の背中に淡く光り輝くなにかが――…
「ルーナ?!」
僕はレパードさん夫妻を連れてルーナの元へと駆け寄った。
レパードさんの夫の手には漁業用の網を握りしめていた。花屋のレパードさんの家がここより遠くないことを思い出し助けを呼んだのだ。
ルーナは両手に子猫を抱きしめ、目を丸くして僕を見つめる。
背中は既にもう何もなく、彼女の長い銀髪が流れているだけだった。
「…猫さん、私が手を伸ばしたら…跳んできたの」
小さな声で呟く彼女の声は上ずっていた。
