きっと足を滑らせて運よく海へと真っ逆さまに落ちずに枝にしがみついたのだろう。 猫は「助けて」と訴えるような目で僕らを見ていた。 僕は腹ばいになり手をいっぱいに伸ばした。猫を抱き上げるにはあと数十センチはいるようだ。 ルーナは僕の傍らで祈るように自分の両手を握っている。 「どうしよう…」 「ルーナはここで猫を見てて。僕は誰か呼んでくる」 一人の少女と僕とじゃ助けることは無理だと見切り、僕はルーナを残して村の中心へと走りだした。 でも… 僕はこの日を忘れられない日になる。