月と星と陽

ルーナはふいに立ち止まり目を僕の方に向けてきた。
「…何か聞こえるわ…」

「え?」

「…みぃ、って。ほら、また」


ルーナは聴力がかなりいいのか。
僕は目を閉じて耳を澄ませるも崖下の波が打ち上がる水音しか聞こえなかった。

「…猫!猫が下にいるわ」
ルーナは崖下を指差した。
僕は下を覗き込むと崖の何本か木の枝が突き出ているところの一つに白い物体を見つけた。

荒れっぽい波が打ち上げる上の木に白い猫が枝の上で縮こまっていた。