月と星と陽


僕はまだなにもルーナのことを知らなかった。



ただ、そばにいて楽しい。


それだけだった…。







店を出るとちょうど空は黄昏時だった。

ルーナと僕はバスに乗ってメンフィの村へ帰っていった。
村の隅のバス停を降り二人並んで歩いていた。ルーナはぼぅっとした顔で押し黙っていた。



海の側にはまるで巨人がざっくりと斧で切り裂いたような崖があり、その横を通っていた。