「いつもありがとー」


他の生徒はもういなくなってて。


先生とアタシだけの時間。


「うんー」


アタシだけに投げかけられた言葉。


それだけで幸せ。



知ってる?
ニヤケを堪えるのって大変なんだよ?先生。


それから、
先生と一緒に窓を閉める。



「先生、X JAPANの曲でお勧めの曲ない?」

「え、何?鈴松さんも聴くの?」

「聴くよ。V系バンド好きだし」

「そっかそっか。あれ?この話前もしたっけ?」

「うん。給食のときに」


笑いながら話す先生を見ていると、
とても幸せな気分になる。


「う~ん。そうだなー。発売順に聴いてってみ?違いとか解っておもしろいよ」

「そうなの?んじゃあそうするね」

「そうしやあ。あのバンドの善さは、激しさの中に静かな音色が入ってて、それがいいんだ。」

「確かに」

「だろ?でも普通は受け付けないんだよ。ハスキーで独特な声だから、あんまいい印象は得られないと思う」


「そうかな?アタシはそうは思わなかったけど…」

「そう?俺は兄貴の友達の影響うけてさー。初めて聴いたときにうっわなにこれ!?って思った」


嬉しそうに
楽しそうにバンドについて語る先生。


笑ったときに、
切れ長の目がさらに細くなる。


愛しい。


堪らなく。