「んじゃ、行こっか」


ポケットから片手を出して、ひとさし指を右に向け、またすぐにポケットにしまった蒼空くんの態度に、胸がぎゅんと痛くなる。


「こっからだと、こっちの駅の方が便利」


そう言いながら蒼空くんは、ひとりで先に歩きだした。


……手、とか……繋いでくれないのかな?


あたし達、付き合ってるのに。


そんなことが、頭をかすめる。


……と同時に、さっきまでの圭輔の姿が、フラッシュバックした。