「莉子、待った?」


向こうから蒼空くんが、ポケットに両手をつっこんで、トコトコ歩いてくるのが見えた。


「う……ううん、全然っ」


あたしはジャケットから手を離し、両手を顔の横でバタバタ振った。


「今、来たトコ」


「そ? ならよかった♪」


1週間ぶりに見る蒼空くんは、相変わらず可愛い。


学ランの下からのぞくパーカに、きゅんとする。


でも……。