そんなあたしをクスリと笑い、蒼空くんは甘えるような声をだした。


「わーってるって。今日は、数学教えてくれるんだもんな? 莉子先生が」


「あ……」


そうでした。


あたし、完全に目的を見失っていました。


今日蒼空くんに会うのは……。


超苦手で、大ッ嫌いな数学を、蒼空くんに教えてあげるためでした。


それを思い出し、恋のドキドキから一転、緊張のバクバクに心臓の音が変わる。