「……と言うわけで。あたし、今、めちゃくちゃ困っててさぁ」 数学教師用の指導室を後にして、あたしと花巻さんは、校庭横の花壇前のベンチに腰をおろした。 そこであたしは、賄賂にするのを失敗した、なっとう×ちょこぱんにかぶりつきながら、花巻さんに全てを話した。 圭輔のことも、蒼空くんのことも、全部ぜーんぶ、包み隠さずしゃべりきると……。 「すごい……。持木さん……。大人気ですね……」 花巻さんは目をまん丸にして、うらやましそうな視線をあたしに向けた。